ゴーアラウンド
納得のいく1本(の仕込みから搾った酒)を造ることができたのが平成12年のことだった。荒削りだが可能性がつまっているその酒に八百新の原点への回帰と新しい船出の意を込めて「雁木(錦川の土手にあった階段状の船着場のことを差す「雁木」という名前には「水際にいのち生まれる」という思いが込められています。)」という名をつけ、世に問うた。1本の仕込みから出来た一升瓶にしてたった600本だけの純米無濾過生原酒だった。「おいしさを分かってもらえる人だけに飲んでもらおう。扱ってもらおう」という姿勢を貫き、少しずつ生産量を増やし、無理せず一店一店取扱店を増やしていった。純米であること、活性炭素を使う濾過をしないこと、を遵守しながらラインナップを徐々に広げることで雁木の世界が像どられ支持者の輪が全国に広がっていきブランドとして認知されるようになっていった。やがて出荷数量も代表銘柄だった「錦乃誉」を凌ぎ、今ではほぼ全量が「雁木」になっている。