加茂錦は特徴ある荷札デザインが売りであるが、こちらは3粒という不思議なネーミングと漫画のイラストが売りである。
この外観により味を知らない人でも、その存在だけは強くアピールすることに成功している。しかし、酒である限りその判定基準は勿論味である。
甘い。第一印象はこれに尽きる。サケラボチャンネル等の強力な情宣により、甘ったるい酒は、現在の新たなムーブメントとして認識されるようになってきた。これはジリ貧の道を歩んできた日本酒にとっては起死回生の革命となるかもしれない。しかし、日本酒の主流は若者では無く、中高年なのである。淡麗辛口、これは中高年の憲法第九条だ。そして、彼らの辞書に甘口と言う言葉はない。甘酒しか飲めないお子ちゃまは、三増酒からダルマから赤玉ポートワインからワンカップまで飲んでいる中高年に味覚のダイナミックレンジにおいて勝てるわけがない。この酒はダイナミックレンジが低いお子ちゃまには受けるかもしれないが、中高年の支持は取れないだろう。寒菊や寫楽のように甘さの寸止めと、味の軽さをどう克服するかが課題ではないか。そうは言っても、軽くてフルーティで飲みやすい酒であることには間違いない。