susan
先ずは冷酒
オレンジの豆電球の下でも分かる澄んだ黄色。木造の雪室の香りは知らないが、きっとこんな香りだろう
飲む。典型的な氷室熟成香と築60年の木造納屋の香り。薄い酸味。さらりと水のようだが一癖ある。飲み込むと、鼻から抜ける青白い雪
次は45℃
率直な感想は、「新潟クラシックな吟醸」。湿った何かを炙ったような深み
飲む。酸味と香ばしさ。水っぽさが強いせいか、甘味は意識しないと感じない。飲み込むと、舌元に残るトゲのある酸
次は55℃
酸と木。木の品種は分からない
飲む。非常に複雑な芳醇さ。百千の要素。香木の焚火近くで飲む甘茶。上手く捉えられない
飲み込むと、さっぱり酸っぱく香ばしく奥深い。表現できない
最後に65℃
静かな夕方。台所の換気扇から排出された晩飯の香りが、辺りの家々から炊き出る。蒸気の向こうに赤紫の空
飲む。酸味。香ばしさ。懐かしく複雑な風味。甘く捉えられない。滑らかなとろみ。飲み込むと、、、ダメだ。捉えられない。
複雑な酒。掴みどころが見つからない。否、あるにはあるのだが、捕まえられない私の味覚音痴
リピートは恐らくしないだろう。私にとって思考し過ぎてしまう