福井県南越前町の酒です。
ちょうど中京·関西方面から敦賀を経て、北陸トンネルを抜けると出てくる町が南越前町。
「鳴り瓢(なりひさご)」という名前は、福井出身の幕末の歌人·橘曙覧(たちばなあけみ)の歌「とくとくと たりくる酒の 鳴り瓢 うれしき音を さするものかな」に由来するそう。
とくとくと音をさせながら湯呑みへ(私はいつも湯呑みで酒を飲みます)。
香りのひね方に比して、飲み口は軽やか。控えめながらまろやかな甘み。
と思いきや、鋭い辛みがやってきて、するりと消えていく。
温めるとどうか。
少しひね香がダイレクトに。辛み、渋みがしっかり来る。
昔気質の強く辛い酒という感じ。
橘曙覧は、福井の郷土史では松平春嶽、橋本左内、由利公正らとともによく聞く名前。しかし、どんな業績を残したひとなのかはあまりよく知らないのです···。
郷里の歴史すらよく知らぬ愚か者、せめて幕末の福井の偉人橘曙覧も晩酌のときに聴いたであろう、このとくとくという湯呑みを満たすうれしき音に思いを馳せつつ、晩酌を進めましょうか。