ガルス
ホタル観賞の静けさ
洋ナシ、草木のミックスしたような香り。まろやかなアタックから、ミネラル感のあるスムースな時間が流れ、じんわりと旨味が出てくる。飲み込むと洋ナシの含み香がふわっと香り、味としてのキレはアルコール感と共にすっきりながら、香りの余韻が残ります。
夏に入る前の、草いきれと言えないながらも感じる湿った草の香り。静かな夜に小川の近くを歩いていく。暗闇に目が慣れてきたころに、ポッと明かりが見える。気のせいかと思った頃にまた別の所に黄緑色の光がスゥーっと舞う。ホタルだ。光の残像を追いながら、他のホタルの光も飛び込んでくる。気が付けば、ホタルはたくさん飛んでいて光の芸術のよう。この百黙 純米吟醸は、スムースで静かな味わいから転じて華やかに香ってくる様子はホタルの舞のように華やかです。
この系統の味わい、好きです。黒龍のいっちょらいを思い出しました。静かに入ってきて、後半に花開く感じ。食中酒として最適です。鳥胸肉の蒸したものに甘塩っぽい醤油ダレに合わせました。胸肉のシンプルな部分とタレの甘い香りが酒とマッチしていました。菊正宗のギンカップの特上版のような印象でもあります。