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奈良県発の酒造好適米「奈々露」を、奈良発祥の伝統技法・菩提もとで仕込んだ一本。新しい酒米の個性を、古来の醸造法でどこまで引き出せるのか、そんな挑戦が感じられる意欲作でした。
口に含んだ瞬間、感じたのはクリアで伸びやかな酸と、やわらかく自然な甘み。その味わいはどこかラムネや白桃を思わせる、親しみのある爽やかさがあり、軽やかながらもジューシー。生酛らしい酸味とともに、菩提もと特有の「やさしい野性味」も微かに感じられ、まるで水彩画のような味のレイヤーが広がっていきます。
同じ「奈々露」を使った風の森の奈々露657が、ガス感と甘みで透明感あるピュアさを打ち出していたのに対し、みむろ杉は軽快さの中にほんのり複雑味を加えた、しなやかなバランス感。どちらも“これから育っていく酒米”として、造り手ごとの表現の違いを感じることができました。
まだ「奈々露」の個性そのものは未知数ですが、そのポテンシャルの一端を感じさせる、穏やかで華やかな一杯でした。冷酒でも常温でも楽しめる、奈良のこれからが楽しみになるお酒です。