susan
冷酒
淡く澄んだ冷たさ。繊細なあの子の毛先
飲む。淡く甘くみずみずしい。甘酸っぱい。雨の日の初恋。パイナップルと麦芽糖の甘さ。飲み込むと、少しほろ苦く辛口
45℃
むっちむちなあの子。浴衣から覗く首筋が汗ばんでいる
飲む。ゆるりと入り、無。何もないが、探すと苦味が見つかり次第に強くまる。少しの酸味と米の旨味、コク。派手さは皆無。むしろいぶし銀。飲み込むと、どっしりとした辛口の苦味
55℃
徹底的に澄む。一夏の恋が終わり、俺は一体何をしていたんだ?と呆然
飲む。ゆるりと苦い。いつか終わることを承知の恋。酸味が若かりし頃の初恋を思い出させ、せつなくなる。飲み込むと、みずみずしくさっぱり
65℃
秋の枯れた落ち葉
飲む。一気に香ばしくなる。恋の対象は人ではなく、自然に向いた。開き直ったように元気!コクも甘みも乗っている。飲み込むと、みずみずしい酸味と、切なさが残る
温度=年齢で置き換えると、酒名がよく理解できる。低温ではみずみずしく甘酸っぱい恋。高温ではほろ苦い禁断の恋。65℃では達観している
今はリピートしたくない。私が死ぬ年の夏、これを飲みながら思い出に浸りたい