ch_a_ma
酒未来 純米吟醸
酒屋さんで物色していたら一升瓶と目が合ってしまったとき、人の心には迷いが生じる。
これは運命の出会い。このまま連れ帰って二人の時を過ごしたい。この子を抱いてほろ酔い気分で見上げた望月の美しさに息を呑みたい。
しかし一升瓶の寿命は長い。四合瓶の倍以上である。酸化させることなく、飽きることなく、最期まで面倒を見れるのか。冷蔵庫の空きは十分か。酔っても室温で放置せず冷蔵庫にしまえるか。相応の肴を用意できるのか。
一緒に呑んでくれる複数人の呑んだくれがいればこんな迷いも生まれなかろうが生憎私の知り合いは大体がビールを飲みだす軟弱者であるため自力で一升分と向きあう必要があり、一升瓶を買うために覚悟と蔵に対する信頼が必要となるのだ。
その点この一白水成酒未来を買うに迷いは要らない。覚悟も不要。ただ福禄寿酒造を、そして酒未来という米を信じればそれだけで良い。ただし冷蔵庫の空きは要る。
口に含んだ瞬間から爆発的に美味い。奥深く味わい深い旨みと甘みが舌に乗り、しかし主張は激しすぎない。複雑妙味を味わっていると旨味の尻尾だけがじわりと口の中に残り、堪らず次の一口。これぞ至極の酒といったと