ショーン
起
柔らかく、繊細で、クリア。
その透明な立ち香に続いて、舌の上にはわずかなピリピリと微炭酸の名残が触れ、
ふわりと新酒らしいフレッシュな気配が口の入り口に広がる。
承
口に含んで転がすと、銀錠香が少しだけくどいほどに立ち上がり、
そこでようやくライチのような風味が花開く。
酸味ではなく、あくまでフレッシュな果実のような香り。
雑味や乳酸的な重さは微塵もなく、本当にジュースか、
いやカクテルを飲んでいるような軽やかさが続く。
転
お猪口で飲んでいるが、もしこれがバーの背の高いカクテルグラスで出てきたら、
もう完全に“カクテル”と呼んでいい味だと思う。
喉越しは日本酒というよりリキュールのキレとアルコール感で、
米の存在を全く感じさせない。いやちょっと感じるかも
同じ食卓には、自分でさばいて5日間熟成させたおじさん(魚)。
その淡白で甘い魚を、このザクがフレッシュに受け止める。
こんな夕食、他にない。
結
新酒の軽い果実感と甘み、魚の柔らかい旨さが何度も往復し、
喉を過ぎた後にはただ澄んだ余韻だけが残る。
ザク、新酒。めちゃくちゃうまい。
★4.8