なべ
主張しすぎず、寄り添うような優しさがあります。生酛ゆえ酸は張りますが、丁寧に醸されたのでしょうか、完成度の高い丸みが感じられます。これは勘に過ぎませんが、熟成にも堪えられる、むしろ熟成させるべきだったのではと。決して目立つ酒ではないですが、またきっと飲みたくなる、記憶に残る良いお酒でした。燗が美味しいと思います。
寄り添うといえば、都会から田舎まで人家のそばに寄り添い暮らす雀。目覚ましのアラームより「チュンチュン」で目を覚ます幸せ。旧世界の穀倉地帯に広く分布し、人がいなくなると自然と姿を消す共生関係にあるようです。日本では稲作と共に生きてきた、ある意味日本酒と縁がある小鳥なのでしょう。春になると訪れる燕と共に、私たちに寄り添う。
緑陰に人馴れ貌の町雀 高澤良一
その寄り添い、愛らしい姿ゆえ、とても愛されている雀。そんな印象が銘「竹雀」とよく合います。良いお酒と出会いました。