なべ
昔から御食国といわれ旨いものに事欠かない淡路島。今は春は新玉葱、夏は鱧、秋冬は紅葉鯛に淡路牛、とどめはフグ。瀬戸内の穏やかな気候に恵まれ、海も山も温泉も、絶品ジェラートも全部コミで我が家からドライブ一時間。素敵な島を産んでくれた天孫チームに感謝。
銘を聞けば京都伏見あたりの?と連想してしまいそうな都美人は淡路島の酒蔵。主軸は山廃仕込のゴッツリ頑固系で、はんなり都のお姫様感は微塵も無い。熱燗でグイッと決めたい自分には高シンクロ率です。
この23BYは東浦地区の酒屋さんが蔵の貯蔵庫から引き抜かれた古強者(こちらの酒屋さんには阪神淡路大震災翌年醸造の8BY古酒も!)。美人ではなく武人、戦国の鎧武者。重心低く四股を張り、槍衾をも圧し斬る剛の者。飛切燗でも刃こぼれしらず、益々冴える。口中に留めれば積年の円熟した旨甘味が広がり、一献一献が一騎当千。都美人の銘から来るイメージとの乖離は甚だしい。
と、前時代的なステレオタイプの解釈をしてしまう違和感を覚えつつ、このまま投稿して良いのやらと悩んでカラの酒瓶に問うたところ、天啓。よく見れば都美人の「人」に立派なヒゲが。都らしい粋な仕掛けです。