なべ
東風吹かば匂いおこせよ梅の花〜
道真公の望郷の念を詠んだ吟が、薄紅梅色のラベルを見るとふと心に浮かびます。
私の故郷富士宮の富士山の湧き水で醸した、高砂らしい優しい甘味に旨味を重ねた一本。温燗がマイベスト。熱燗までは耐えられない鍛えですが、コスパを考えると優秀です。尚、この水系で育った故、「旨い」と感じるには多少の心情バイアスがある旨ご理解ください。
閉塞感に耐えられず故郷を飛び出して、気がつけば三十回目の春を迎えます。若い頃は感じる事など決して無かった望郷の念、都を追われ万感の想いを梅に託した道真公にはもちろん及ぶものではありませんが、この歳になると…
さかづきに
梅の花浮け思ふどち
のみての後は散りぬともよし
大伴坂上郎女