なべ
桜に因んでの抜栓二本目は、淡墨桜。投稿二度目の大好物、熟成させておりましたが、このご時世、呑まずにいられず。
推定樹齢千五百年とも言われる美濃の銘古木を冠した、それはもう大樹のようなどっしりとした旨甘味、それでいて春風のようにふわりとした緩やかな酸と後口。美酒爛漫。
千五百年前といえば大化改新よりも昔。応仁の乱に戦国時代、太平洋戦争などの度重なる争乱から、飢饉や天災、疫病など、人の世の儚さを見つめ続けている老桜。美濃の厳しい風雪に耐え、春が来るごとに生命力を薄紅色の華に顕現させて、人々に希望を与え続けた淡墨桜。明智光秀もきっとこの桜を愛で、「麒麟が来る」ことを願ったと思います。また散り舞うことで、どんなことにも終わりがあり、そしてまた必ず春がやってくる、世の輪転を示したのではと。
何かと暗いご時世ですが、この先にはもっと良い春が必ず来ます。今までもそうでした。だから絶対にこれからも。